知られざるペチュニア雑学

世界初の完全八重咲きF1ペチュニア「ビクトリアス ミックス」は、世界に「坂田商会」 (当時) の名を知らしめ、"サカタマジック"と称賛されました。1934（昭和9）年には、世界で最も権威のあるオール アメリカ セレクションズ（AAS）の審査で、銀賞を獲得しました。

サカタのタネが数多くの優良品種を生み出す中で、1991（平成3）年 に販売を開始した「バカラ」シリーズは、日本の高温多湿の環境下でも栽培しやすく、コンパクトな株にたくさんの花を咲かせることが評価されて一世を風靡ふうびし、日本のペチュニアの金字塔を打ち立てました。

1793年（江戸時代後期）にタバコ属の一種とされていた本種が、1803年（江戸時代後期）にフランス人植物学者ジュシーによって再分類された際に、ブラジルインディオ (先住民) の言葉 (グアラニー語) で「タバコ」を意味する「ペチュイン」から、この植物に「ペチュニア」という新しい属名が付けられました。

完全八重咲きF1ペチュニア「ビクトリアス ミックス」のヒット後、太平洋戦争によりペチュニアの研究開発を中断せざるを得なくなりました。戦後は、八重咲き以外の育成に力を入れ、ストライプ咲きの「グリッタース」や1972（昭和47）年に世界初となる覆輪（ピコティー）咲きの「ブルーピコティー」を発表するなど、ペチュニアを足掛かりにサカタのタネは世界有数の種苗会社へと飛躍していきました。

ペチュニアは品種や花色によって程度に差がありますが、花に甘い芳香がある植物です。特に夕方から明け方にかけて強く香ります。これは受粉のために夜行性のガを誘引するためと考えられています。アサガオのような花筒の長い花形は、ハチではなくガやチョウが蜜を吸いやすい形状となっています。

日本では「バカラiQ」シリーズなどの中輪タイプのペチュニアが主流でした。一方で大輪タイプはペチュニアの中でも特に雨に弱く、生産が敬遠されています。そこで登場したのが大輪タイプのペチュニア「パフィン」シリーズです。このシリーズは「バカラiQ」の特長を継承し、ペチュニアの”弱点”を克服しています。中輪タイプのペチュニアがメインだった春の園芸に、”大輪タイプのペチュニア”という新たな選択肢を与えてくれる、待望の品種なのです。