埼玉県在住の若手育種家・花日和(はなびより)の川上さんはパンジー・ビオラ・ペチュニアなどを手掛ける生産者さんです。29歳で花の育種を志し、約10年でバラエティー豊かな品種を生み出してきました。花日和さんの生み出す品種は思わず手に取りたくなるような繊細で美しい花色が特徴で、園芸初心者さんでも育てやすいと評判です。
今回の取材では、品種の魅力だけでなく、育種に専念できる環境を整えてくれた種苗店や、生産を担う農家の方々など、花日和さんの品種がお客さまのもとに届くまでの背景についてもお話を伺いました。
農業をはじめたきっかけは?

花日和さん:農業高校に通っているときに先生からハイビスカスをいただいて育てているうちに、少しずつ花に興味が湧いていきました。漫画雑誌を買いたい気持ちを我慢して園芸雑誌を買うようになり、気が付けば将来の夢が花農家になっていました。
育種を始めたのはいつごろですか?
花日和さん:自分でハウスを借りて花農家として独立した当時、売上も少なく生活が苦しい時期が続きました。
「自分だけのものを作りたい」と思い、就農3年目に育種を始めました。 最初に育種したのは、キンギョソウの「フォレストマリアージュ」という品種で、パンジー・ビオラにも取り組み、少しずつ品種を増やしていきました。
育種した品種を仲間内で販売しつつ、インスタグラムで紹介していたところ、生産したいと言ってくださる農家さんが増え、対応が追いつかなくなってしまいました。そんなときに出会ったのが田村種苗園さんです。
田村種苗園さんとの出会い
田村種苗園さん:埼玉県で農家さんや園芸愛好家向けに、種苗・肥料・農薬・園芸資材などを販売する種苗店を営んでいます。
花日和さんとは埼玉県内の農家さんの勉強会で出会い、いつの間にか仲良くなり花日和さんのパンジー・ビオラの種苗販売を担うようになりました。花日和さんの生産規模には限りがあるので、素晴らしい品種をよい状態で多くのお客さまに届けられるように、各地の腕のよい農家の方々とのつなぎ役を担っています。花日和さんにはさらに育種に力を注いでもらいたいと思っています。
花日和さんとは埼玉県内の農家さんの勉強会で出会い、いつの間にか仲良くなり花日和さんのパンジー・ビオラの種苗販売を担うようになりました。花日和さんの生産規模には限りがあるので、素晴らしい品種をよい状態で多くのお客さまに届けられるように、各地の腕のよい農家の方々とのつなぎ役を担っています。花日和さんにはさらに育種に力を注いでもらいたいと思っています。
今後の展望について
花日和さん:新しい品種を手にしたときのお客さまの喜びを思うと、これからも新しい品目や品種を増やしていかなければならないと感じます。時間がかかる作業ばかりで本当に大変ですが、これからも頑張っていきたいと思います。
田村種苗園さん:20年以上種苗業界に携わり、世界中の種苗を扱ってきましたが、花日和さんの品種の繊細な花色のグラデーション、美しい花型と草姿には新鮮さと驚きを感じています。その美しさの中には、日本人ならではの感性が息づいており、心に響くものがあります。今後も新しい品種が出番を待っていますのでご期待ください!
田村種苗園さん:20年以上種苗業界に携わり、世界中の種苗を扱ってきましたが、花日和さんの品種の繊細な花色のグラデーション、美しい花型と草姿には新鮮さと驚きを感じています。その美しさの中には、日本人ならではの感性が息づいており、心に響くものがあります。今後も新しい品種が出番を待っていますのでご期待ください!
花日和さんからの品種紹介

◆パンジー「シエルブリエ」
波打つフリル咲きの中大輪パンジー「シエルブリエ(Ciel Briller)」は、フランス語で「空」を意味する「Ciel」と、「輝く」「光る」を意味する「Briller」を組み合わせた言葉です。色幅があるので、お気に入りのカラーを見つけてもらえると嬉しいです。環境によってどんどん花色が変わるので、変化を楽しんでほしいと思っています。
例えば、暑い時期は花色が濃く、寒い時期は薄くなりますし、肥料のやり方でも変わってきます。耐寒性は一般的なパンジー・ビオラと変わらないくらいで、冬でも開花します。春になると、株がさらに大きくなるので楽しみにしていてください。
花日和が販売しているパンジーの中では、ブルー系が一番人気です。

◆ビオラ「華あられ」
私が育種した品種の中で最も育てやすいのが「華あられ」です。園芸初心者にはこの品種をおすすめしています。花上がりがよく、株姿はドーム型にこんもり仕上がり、生育スピードも速いです。明るい花色を集めているので、ポップな色合いがとてもかわいらしいですよ。

◆ビオラ「アイクルール」
「アイクルール」は、全体が明るい花色ながら、アンティークな雰囲気を感じさせます。成長はすごくのんびり屋さんなので、春先でも株が伸び上がりにくく、丸い株姿を保ちます。寄せ植えにも適した品種です。※桐生ふぁーむ様と花日和様の共同開発品種です。
栽培のコツ 花日和さんからお客様へ
花日和の品種を栽培してくださっている方のインスタグラムを拝見していると、鉢で栽培している方が多く、肥料が切れてしまっている苗をよく見かけます。液肥を週に1回程度、施肥できるとよいですね。特に微量要素入りの液肥は花色がきれいになるので、おすすめです。液肥を株元にしか与えない方も多いですが、葉にかかるように上から液肥を与えると葉からも肥料分を吸収できます。