vol.1 江守さんのプロフィール紹介

vol.1 江守さんのプロフィール紹介
新コンテンツの記念すべき1本目は、共に取り組む農業コンサルタント・江守さんの経歴をご紹介します。突如オンラインショップに現れた、“江守さん”。一体何者なのだと皆さん思われていることでしょう。第一回の記事は、江守さんの人物像に迫る内容になっています。

目次

農業への取り組みと想い

江守敦史と申します。農業コンサルタントとして、農家の皆さんが自分の夢を実現できるように、自分のやりたい農業の姿を実現できるように、そこに向けた課題解決を一緒にしながらトレーナーのような形のコンサルティングをしています。

これまで長らく出版の世界にいて、約20年間大手出版社で本作りをしていました。子供のころから物作りが好きで、それで本を編集するようになり、そして今野菜を作っているということで、クリエイティブなことが楽しくてこれまでやってきたキャリアです。

旅とか食とか、地域の本などを多く作る仕事もしていたんですが、日本全国を巡る中で、各地、特に農村漁村が非常に元気がなくなってきているなというのを、その仕事を通して感じていました。繰り返し訪れた地域が、数年後再び行ったときにはシャッター街になっていたり、街自体が寂れていたりといった光景を目の当たりにしたことで、当時は編集者でしたが、日本をもう一度元気にするための取り組みに自分も関われないかとの想いで出版社を辞める決意をしたんです。その後、生産者と消費者をつなげる食べ物付き情報誌「食べる通信」というメディアと出会い、そのメディアを日本全国に広める仕事をしてきました。

具体的には生産者や農家さん、漁師さんの物語を書いた雑誌に、おまけとしてその方が生産した食べ物が付いている雑誌になります。読者は生産者の物語や世界観に触れて、共感して、その人が作ったものを食べることで、生産現場や生産者へ想いを深めてつながっていくという、そういうメディアでした。「食べる通信」は生産者をスターにする装置だったんですが、その生産者の日々の継続的な売り上げをあげることになかなかつながりにくいところがあったので、2020年3月11日に「いまここランド合同会社」という自分の会社を立ち上げ、現在のように農家さんのお困りごとを共に解決する仕事を続けています。
実は私も「食べる通信」の仕事に就くまで、生産現場、いわゆる農家さんの圃場に行くような機会もなく、農家さんの友人もいなかったんですけど、彼らとやりとりするうちに、彼らの生きる力に魅了されたわけですね。すごいなと。農作物を栽培して販売しているだけでなく、トラクターや耕運機を運転したり、壊れたら直したりすることもできますし。ひもの結び方を知っているとか、すぐに火をおこせるとか、いろいろ我々が忘れてきた生きる力みたいなものを備えている人たちだなと思って、どんどんリスペクトの気持ちが高まっていきました。

それで現在は、私も埼玉県上尾市で認定の新規就農者として、21品目53品種の野菜を栽培し、養鶏も行う循環型農業で日々生産をしている一農家でもあります。直売所や道の駅、学校給食、地域のスーパーなどへ出荷しながらコンサルタントの仕事も並行して行っています。キャリア支援や経営などの知見であったり、農家として自分が実践したりしてきたこととか。新規から立ち上げるところで自分が苦労した経験や、実は直売所で働いていたこともありまして。その直売所のスタッフだった経験なども活かしながら、記事を読まれている皆さんが持続的に農業を続けていくためのお手伝いができたらなと思っています。

栽培の部分でいうと、自分がやってきたキャリアはありますが、栽培技術の専門家ではないので、そこに関してはサカタのタネのブリーダーの方々や、さまざまな専門家の方に私がお聞きする形で、ときには切り込んで話を聞いてお伝えするようなことができればと思っています。

直売所スタッフ経験と販売ノウハウ

「食べる通信」を広めている後半で、すごくいい取り組みだし、ずっと続けていくべき活動だと思いましたが、もっと農家さんの日々の売り上げをあげることに寄り添えないかなと思い始めて。ふと思ったのが、私は普段埼玉の所沢や上尾というところにいるんですけど、そこの生産者を知らないなと思ったんですね。すごく身近な生産者を知らなくて。で、そこの人たちとつながって、みんながどう野菜を売っているかということを、特に小規模農業者がどうやって日々の生計を立てているかもっと知りたいと思ったときに「そうか、直売所のスタッフになっちゃえばいいじゃないか!」と思ったんですね。

それで、月~金「食べる通信」の仕事をして各地を飛び回りながら、土日は直売所でアルバイトを始めたんです。そこでは朝7時の品出しから、働ける時間いっぱいの16時まで生産者が持ってきた野菜を並べたり、野菜以外のバナナなどもスーパーみたいにパックして出すとか、レジ打ちもやったり、そういうことを4年間続けました。

だんだん私が何者か分かってくると店長からも「江守さんも出荷して」って言われて、自分も野菜を出すようになって。他の生産者からたくさんのことを学びました。パックの仕方やどうやったら野菜がきれいに見えるのか? それは売れているか? とか。働いている側だったので、全員の「商品」を見ているんです。だから客観的に見られるので、「この人のパックはもう少しこうしたらきれいになるのに」などと考えたりもしました。生産物の出荷、それも年間を通してこの時期この地域にはこれはないんだとか含めて学びに溢れる時間でした。

楽しすぎて、自分が社長をやっている会社もあるのに直売所のアルバイトからなかなか足を洗えず、最後の方はちょっと趣味みたいに続けていました(笑)。なので、自分が初めて出荷をしたのもその直売所で、今も農家としてそのお店に出し続けています。

やっぱり自分で出すことによって、周りのみる目が変わってきたのを感じますし、何でもやってみないと分からないですよね。自分が農業と農業コンサルティング両輪でやっているのも、そこで実践しているから言えることがたくさんあるからなんです。たとえば直売所での並べ方や売り方などに関しても、自分がやっているからこそお伝えできるそのリアルな知見をこのコンテンツでお伝えできればいいなと思います。
ヤオコー まるひろ上尾SC店への出荷」

サカタのタネとの関わり

サカタのタネとの出会いについてもお話しますね。多くの新規就農者や小規模農業者がそうであるように、私も以前はホームセンターで種を買うことが多かったんです。で、それを栽培するんですけど、少量多品目で、いろいろな種を買う中で欲しい品種だったりパッケージの印象であったり、いろいろなことからたまたま自分が実際に手に取るものはサカタのタネの商品が多かったのがきっかけです。

そうやって作っていく中で、農業者として認定を受けて自分の規模が大きくなっていくうちに、だんだんホームセンターで買っている種じゃ足りないぞ、もっとたくさん欲しいなっていうことで。身近な生産者に聞いてみたら、みんな缶とか大袋とか大きい単位で種を買っていて、これは種屋さんから買わなきゃいけないのかななどと探っているときに、そうか、今の時代はメーカーから直接オンラインで種を買えるんだっていうことに気づきました。それで近年オンラインショップで種を買うようになって、メルマガも取り始めて、いろいろな情報が流れてくるようになって便利だなと感じていたんですね。

そんなときに、昨年(2024年)11月に「春の野菜品種説明会」というものがあり、参加してみたらスタッフの方から声をかけられ、上尾市にある私の拠点にサカタのタネの皆さんに来ていただく機会がありました。
「春の野菜品種説明会 フォトスポットにて」

自分でもそんなに意識はしてなかったんですが、うちの畑はもう恥ずかしいくらいサカタのタネの品種ばかりになっていまして。冬だったんですけど、ダイコンとかキャベツ、ブロッコリーが基本サカタのタネの品種で。そこで初めて気づいたというか、そうか自分に(品種が)合っていたんだなっていう。

これは余談なんですけど、昔エンタメ系の雑誌編集をしていたとき、音楽やゲームの雑誌も結構やっていて、自分が好きなメーカーの担当になるとか、訪問するとかよくあったんですけど、そのときと同じ気恥ずかしくうれしい感覚がありましたね。

それで、私の拠点に皆さんが来られて、さまざまな情報交換や議論をする中で、私の方から、「種苗メーカーとしてサカタのタネが日本の農業者をもう一度元気にするぞという、そういう姿勢を見せていただきたい。特に新規就農者や小規模農業者がその姿を見て、サカタのノウハウや技術を知ることで、持続可能な農業をしていけるんじゃないか」ということをご提案したところ、サカタの皆さんに非常に賛同していただき一緒に取り組みましょうということになりました。

これは本当にありがたいことだと思っています。私一人だとやっぱりすごく小さな力で、全国の農業者と伴走し続けるということが、それをより多くの人に伝えるということが難しい。でも種苗メーカーであるサカタのタネの皆さんと一緒であれば、全国のこれから頑張っていこうとされている農家さんに困難を乗り切るための知見や情報というのを届けられるんじゃないかと思いました。

まずはこのメディアを使って、「情報という武器」を届けることをしていくわけなんですけど、たとえば一緒に新しい品種を作るみたいなこともできたら素晴らしいし、種苗メーカーも生産者も消費者もみんなで一緒になって持続可能な社会を目指して、広い視点で取り組みをしていきたいと思っています。

これを読まれている農業者や関係者の方たちからも、ぜひいろいろな意見をいただいて、この取り組みが長く太く続くような活気のあるコンテンツをお伝えしていければと思います。

最後に

“江守さん”との出会いから、サカタのタネの新しい取り組みが始まりました。
これから、“日本の畑を元気に!”を合い言葉に、有益な情報を発信します。コミュニティページもご用意していますので、全国の農業者の皆さんと交流の場となれば幸いです。