vol.3 栽培計画とチャレンジ品目

vol.3 栽培計画とチャレンジ品目

前回の記事では、自分にとっての「定番品目」を持つことの重要性を、ナスを事例に紹介いただきました。

今回は、これからのシーズンである冬春の栽培計画について教えてもらいました。

目次

江守さんの冬春栽培計画

――江守さんの冬から春にかけての定番品目は、ダイコンやブロッコリー類。初夏から秋に育てていたナスは例年手が空く1月ごろに片付けています。

 

今年も酷暑が続いたため、ダイコンは9月中旬から徐々にまきました。

定番の青首ダイコンは「冬自慢」を基本に、「冬しぐれ」「冬の守」「冬みねセブン」を、直売所やマルシェに葉付きで出すためにカラフルなダイコンも仕込みました。

今年は「紅芯大根」「紅化粧」「あやめっ娘」「江都青長」「ころっ娘」「紅くるり」「藤くるり」「聖護院大根」です。

定番の青首ダイコン品種
カラフルなダイコン品種
「冬自慢」いまここファームで撮影

ブロッコリーやキャベツはその時点ではまだ育苗中。ブロッコリーは「ピクセル」「ウィンタードーム」「よくばり(R)」「スティックセニョール」、キャベツは「みさき」に絞りました。

ブロッコリーの新品種である「よくばり(R)」は今回初めて試験栽培をしていますが、発芽は問題なかったものの、初期段階では少し徒長気味でした。しかしその後の管理により、定植時にはいい苗を植えられたと思います。また、保険をかける意味で、一部の苗はセルトレーからポットに鉢上げをしました。さらに、時期をずらして10月末に「沢ゆたか」も畑に定植しています。

 

他には、ニンニクやタマネギも毎年9月から10月にかけて植え付けています。

ブロッコリー「よくばり(R)」の播種
「よくばり(R)」の様子

江守さんの栽培品種はこちら

    栽培計画の理由

    ――計画を立てる際に、どういう基準で栽培品目を選んでいますか?

     

    「何を育てるかは、畑と作物の相性だけでなく、ヒト・モノ・カネ・販路などのバランスを考えて見極めています。」

     

    新しく農業を始めた人は、毎年同じ面積で作物を育てるのではなく、年々新たな畑を借りて栽培面積が広がっていくケースが多いと思います。そのため、作物と畑との相性はもちろんのこと、栽培管理や収穫に必要な人手(ヒト)、必要な資材や機械(モノ)、その購入に必要な資金(カネ)、さらに拠点から畑までの距離なども考えて、「何を、どこで育てるか」を検討する必要があります。

    私の場合、2025年5月に2.5反ほど畑が増えましたが、春作ではキャベツやブロッコリーを育てたものの、管理(主に消毒と除草)や収穫の手が回らず出荷しきれませんでした。マンパワーの確保ができていなかったんですね。そこで冬は管理作業に手間のかかるキャベツやブロッコリーの量を抑え、ニンニクやタマネギの量を増やして育てることにしました。ニンニクやタマネギは資材購入費用が少なく保存が効き、特にタマネギは、私の場合は学校給食用に大量に卸すことができるのがその理由です。

     

    資材や機械の購入コストは売り上げ(利益)から捻出するわけですから、増えた畑に何を植えるのがよいかは常に悩んでいます。畑による向き不向きはあるとは思いますが、読者の皆さんからもよい事例があればぜひ教えていただきたいです。下記コミュニティーへの事例投稿もお待ちしています。

     

    私は、管理作業と売り上げのバランスから、次の春はトウモロコシを早めに育ててみる予定です。

    直売所やスーパーの地元野菜コーナーがメインの農家さんは、トウモロコシやエダマメなど高単価で売れ筋の品目を選ばれる方が多いと思います。

    お客様も生産者名を覚えていて買われる方が多いので、いい品質のものを作れるようになれば、継続的な売り上げの柱になるはずです。

    チャレンジ品目を育てておく

    ーー江守さんは、主に道の駅や直売所、スーパーに出荷していますが、それぞれの店舗で安定的に「自分の枠」を確保することを意識されています。そのため商品を切らさないよう、定番品目に加え、チャレンジ品目も計画的に育てられているそうです。

    自分が得意な、自分にとっての定番品目を伸ばしつつ「認知度アップによる売り上げ向上」や「継続的に収入のある経営」も意識しながら、収益の最大化を目指しています。

     

     

    定番品目にだけ注力していると、ある時期には大きな売り上げを得られますが、栽培に失敗したときや端境期には売り上げが大きく減少します。昨今の気象状況を考えたときに、栽培失敗のリスク回避や品目そのものの変更も視野に入れて、保険をかける意味合いでもチャレンジ品目はあったほうがいいと思います。チャレンジ品目の栽培にあたっては、実際にその品目を育てている先輩農家に相談できると失敗を防げます。また、チャレンジ品目で得た経験が、定番品目にも活(い)きてくるはずです。

     

    この冬、私はカブ(二刀)やホウレンソウ(寒締め五郎丸、ピンドン)など、これまで自分の定番ではなかった品目も栽培しています。販売する商品のバリエーションを広げるためにも、チャレンジ品目を持つのはおすすめです。

    チャレンジ品目「ピンドン」
    「ピンドン」の播種の様子
    ただし、注意点があります。チャレンジ品目というと、珍しい品種をイメージされる方もいるかもしれませんが、珍しい品種は需要が少ないことが多く、栽培ノウハウを得る難易度も高いと思います。ブランディングとしてニッチな商品(品種)を売るのも戦略の一つではありますが、一般的な品種のほうが無難に売れますので、それぞれの経営方針に沿って検討していただければと思います。

    江守さんのチャレンジ品種はこちら

      江守 敦史

      1972年 兵庫県西宮市生まれ。
      いまここランド合同会社 代表
      大手出版社で約20年間のキャリアを積み、株式会社KADOKAWAでは編集長を務めあげる。
      2020年3月11日に農家の課題解決を目指す「いまここランド合同会社」を設立。

      オンラインショップユーザーの皆さんが、

      これから栽培してみたい、チャレンジしてみたい品目はありますか?

      またはオススメの品目(品種)があれば書き込みしてください♪