つるの誘引・管理編
メリハリをつけ、雨など土が乾きにくい日は控えよう!
蒸散量が多い緑のカーテンは、水やりが大切です。水やりはメリハリをつけ、やるときはしっかりやり、雨などで乾きにくい日は控えます。
朝に水をやり、盛夏は夕方にも必要な場合も
晴れる日には朝、水やりをします。盛夏の晴天時には、夕方にもう一度水やりが必要な場合もあります。
水やりは鉢底からたっぷり流れ出すくらいやろう!
水やりのコツは「鉢の縁からあふれるくらいまで」やることです。土は鉢の8分目くらいまで入れ、残りの2割をウオータースペースと呼ばれる土を入れない部分にします。あふれるくらい水やりをすると、サイフォンの原理で土の表面から空気が入り、植物の根と微生物が必要とする新鮮な空気が土中に取り込まれます。
株には水がかからないようにしよう!
病気の原因になる恐れがありますので、原則として株にかからないよう根元に水やりします。
真夏の日中などに水をやる場合、手で水温を確認してから水やりしよう!
真夏の日中から夕方、特に土が乾いていて水やりする場合、水道管やホースにたまった水が高温になっていることがあります。必ず水温を手で確認しましょう。
放任するとつるは横に広がらない
つるの先端には成長点があり、活発に細胞分裂しながらつるを伸ばし、葉を増やしていきます。頂芽優勢といい、つるの先端の成長点が伸びているとき、葉とつるのわきにあるわき芽の成長点は伸ばさない性質があります。従って、放任しておくとネットを張ってもつるは横に伸びません。
そこで、本葉が数枚のときに、成長の盛んな親づるの先端を摘み取る作業をします。これを摘芯(てきしん)といいます。摘芯をすることで、わき芽が伸び子づるになり、さらに子づるのわき芽も伸びて孫づるになり、葉に覆われたカーテンとなります。
摘芯の位置は植物ごとに異なるので注意しよう!
多くの植物では子づるや孫づるに花が付きやすく、植物の種類ごとに適切な摘芯の位置があります。ここではゴーヤーの場合を説明します。
果実を早くならせたいときは適正位置で摘芯しよう!
ゴーヤー、ミニメロン、ミニカボチャなど、ウリ科植物で果実の収穫を優先する場合は、種類ごとに決められた適正な位置で摘芯をします。
葉を茂らせたいときは、収穫目的の適正位置よりも多い本葉枚数で摘芯しよう!
葉を早く茂らせたい場合は、通常よりも高い位置、本葉枚数が多くなってから摘芯します。ゴーヤーなら通常本葉5~6枚のところを、7~8枚で摘芯します。
不要なわき芽は、つるになる前に早く取り除こう!
必要なつるに養分を集中させるため、不要なわき芽は摘み取ります。特にゴーヤーなど果菜類では果実をならせるために必要です。
接ぎ木苗の場合、台木から出る芽は必ず早めに取り除こう!
接ぎ木苗では、台木からつるが伸びることがあります。よく観察し台木から出た芽は早めに摘み取ります。
つるにひもをかけてから、8の字を書くように結び付けよう!
植物を支柱やネットにひもで結び付けることを誘引といいます。緑のカーテンではひもが成長の妨げにならないよう、ひもとつるの間に遊びができるように8の字を描くように結び付けます。なお誘引には麻ひもを用いるほか、便利な専用クリップもあります。
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つるにひもをかける。
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ひもを1~2回交差させ、支柱やネットへ8の字を描くようにひもの両端を持っていく。
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支柱やネット部分でひもを1回まわす。
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ちょう結びをして、誘引完了。
ネットの内側から誘引すると作業がしやすい!
誘引の際はネットの内側から行うと、葉などを気にせず作業することができます。また、ネットの手前に置いた鉢から、つるが伸びてネットに届いたら、ネットの外側へつるを出して誘引します。
ネットの幅を生かすようにつるを誘引しよう!
カーテン上に茎葉を張らせるために、できるだけ横に広げるよう、子づるや孫づるを誘引します。
追肥は定期的にまめに、多めに与えよう!
元肥配合済みの用土か、自分で配合し元肥を施した場合のいずれも、おおむね1カ月で肥料の効果が切れてきます。緑のカーテンは長く栽培するので、追肥で後から養分を補う必要があります。また、緑のカーテンでは葉を茂らせることが主な目的になりますので、通常より早く多めの肥料を施せば、花や果実の付きを抑え、葉を茂らせることができます。定植から1カ月たったら、週に1回のペースで、追肥として化成肥料を継続して施すことが大切です。
「手ばかり」を覚えよう!
肥料を施すときに役立つのが自分の手です。自分の手で握ったりつまんだ肥料の量がどのくらいか、事前に量っておけば、それが「手ばかり」になります。例えば、成人男性の手なら、3本指でひとつまみは約1.5g、5本指でひとつまみは約5g、片手でひと握りは約30gというように、平均してどれくらいか知っておくと大変便利です。
肥料は株元から離して、鉢植えの場合は鉢の縁にやるようにしよう!
植物は水に溶けた養分を根の先端で吸うため、肥料は株元ではなく、株元から離して鉢の周囲に施します。追肥をした後には水やりをしましょう。
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追肥
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棒で土に混入
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水やり
つる植物の多くは根が浅く張り直射日光で傷みやすいので、腐葉土などでマルチングをしよう!
つる植物の多くは、根が地面に近いところに浅く張る特徴があります。直射日光が地面に当たると熱で根が傷むので、落ち葉や腐葉土などで地面を覆う「マルチング」をすると、熱を遮断し、蒸発による土の乾きを防ぎ、隙間に根が張ることで株の衰弱も抑えられます。
鉢植えは時間がたつと土が沈むので、必要に応じて増し土をしよう!
鉢植えでは時間がたつと水やりに伴って土が沈むため、必要に応じて土を足す「増し土」をします。新しい根が伸びて追肥の効果を高めることができ、株自体の活性を高められます。その際、鉢内にたわんで垂れているつるを埋めてしまわないように注意します。
まずは病害虫の発生しにくい環境を!
鉢植えでは新しい用土を用いる、輪作(同じ科の植物を続けて栽培しないこと)する、日当たり、風通しがよい場所に設置することが基本になります。品種選びでは、病気などに対する抵抗性のある品種を使うことも大切。
毎日よく観察しよう!
日々の観察により、病気や害虫の発生初期に兆候や状態を発見することができます。何かいつもとは違う変化を感じたら、対策を講じます。農薬を使用する場合、使用しない場合とも、初期の対策が重要です。
農薬を使用しない対策で!
目に見える害虫の場合、手や割り箸などで捕まえて殺す、「捕殺」が一番の基本。定植してしばらくの生育初期なら、保温を兼ねてベタ掛けシートや防虫ネットを張るのが有効。また、専用の粘着シートは、飛来してくる害虫を植物に被害を与える前にキャッチしてくれます。
農薬は容器ラベルにある使ってもよい作物(適用作物)かどうかを確認しよう!
農薬を使用する際には、容器のラベルに表示されている、その農薬を使ってもよい作物(適用作物)かどうかに注意して、決められた方法で使用しましょう。
農薬を散布する場合は朝10時までに、葉の裏まで満遍なく行おう!
よく晴れた夏の日中などは農薬の害が生じることがあります。雨の日も避けて、朝10時までに散布を終えるようにします。散布は噴霧器を使い、ノズルを下から上へ移動させ、植物体に満遍なく、葉の裏などにもかかるように行います。